幼い神様

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「心一、別にアンタを責めてる訳じゃないんだからそんな顔しないで」 「はぁ?べっ、別に俺気にしてねーし!!」 急に優しく声をかけてきた先公に、俺は情けない程動揺しながらそう言った。 情けねぇ………。 そんな事を思っていると、さっきから海野が問い詰めていた人形の神様がようやく口を開いた。 「………唯菜(ユイナ)……私の名前…唯菜……」 「そう、唯菜ちゃんって言うんだ♪今まで水の中で怖かったでしょ?もう大丈夫だからね」 海野が優しい口調でそう言うと、女の子の姿の神様は緊張の糸が切れたように声を上げて泣き出した。 正直うるせぇ。 でもまぁ、怖かったんだろうな………。 その後泣き止んだ神様から事情を聞くと、唯菜というこの子は2年前に交通事故にあって亡くなり、生前大事にしていたウサギの人形に宿ったんだそうだ。 そんでずっと家の棚の上で両親を見守っていたのだが、約2ヶ月前に両親にこの湖に捨てられてしまったらしい。 全く可哀想な話だ。 「大変だったんじゃな唯菜ちゃん。酷い親もいるもんじゃの」 「山岡の言う通りだぜ!ったく!」 そう言って俺は、顔すら知らない唯菜の両親にキレた。 少しして唯菜は、話した事で両親を思い出してしまったのか、また泣き出してしまった。 「……泣かないで唯菜ちゃん!大丈夫♪私達がパパとママを見つけてあげるから♪」 「……へっ?」 おいおい、何不可能な事言ってんだよこの女は………。
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