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結局俺はその後、家に着くまで無言のままババチャリを漕いだ。
家に着いた俺はウサギの人形を掴み取り、家に入った。
「遅かったわね心一、早くご飯食べなさーい」
「いらねぇよ」
俺はお袋に無愛想にそう言うと、自室に入った。
部屋に入ると人形を机の上に置いて、布団に横になった。
《クソババアめ!仕方ねぇだろ!所詮俺は本気で他人を思いやれる程出来た人間じゃねーんだよ!》
俺は込み上げてくるイライラを抑えるように枕に顔を押し付けた。
唯菜は俺が嘘をついた事に気づいただろうな。
やっぱ今、泣いてるのかな?
《俺に唯菜の姿が見えなくてよかった……》
最悪だが、俺は心の底からそう思ってしまった。
「心一!心一聞こえないの?降りて来なさーい!」
俺がふと気づくと、お袋が俺を呼ぶ声が家中に響いていた。
目覚まし時計を見ると、時間は午後10時。
どうやら俺は1時間程眠っていたみてぇだ。
「心一!早く来なさい!お客さんよ!」
「……お客さん?」
俺はお袋の言葉に疑問を抱いた。
こんな時間に俺に客が来るなんて、どう考えてもおかしい………。
そう疑問に思いながらも、俺は部屋を出て玄関へと歩いて行った。
すると、
「こんばんわ心ちゃーん♪」
ウザイ程ハイテンションな海野が、玄関で俺に向かって手を振っていた。
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