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学校に着いた時には、もう2限目の国語の途中だった。
「神田!また遅刻か!」
「すんません先生」
俺は適当にハゲで中年の国語の先生に謝って、自分の席についた。
「おい心一、お前進級ヤベェんじゃね?」
俺が席に着くなり、隣のヤツがそう話しかけてきた。
コイツの名前は矢野 祥(ヤノショウ)。小学校の時から高2の現在になるまで一緒の、いわゆる『腐れ縁』と言うヤツだ。
「祥、お前見た目不良のクセに、そういうとこ真面目だよな」
「だってさすがに高校くらいは卒業してねぇとマズイだろ?」
祥は真剣な眼差しで、俺にそう言ってきた。
「それよりよぉ、なんか駅前の所に新しいバッティングセンター出来たんだってよ。放課後行ってみねぇ?」
「マジで!?行く行く!!」
俺の質問に、祥は即答してきた。
相変わらずいつもテンションが高いヤツだ。
そして放課後、
「おぉ!ここだぜ心一!早く入ろうぜ!!」
バッティングセンターに着くや否や、祥はそう言ってはしゃぎ出した。
《全く、コイツといると退屈しないな》
俺はそう思いながら、祥の後に続いてバッティングセンターへと入った。
カキーン!
打席に立つや否や、俺は160kmのストレートをホームランの看板に幾度となく叩きつけた。
「やっぱうめぇな心一は!さすが俺の親友♪」
「お前と親友になった覚えはねぇよ…っと!!」
そう言いながら俺はバットを振り、またしてもボールをホームランの看板に叩きつけた。
「ははっ!素直じゃねーなぁ~♪あっ、そういやお前、今日の昼休憩またコクられてただろ?」
「はっ?コクられてなんかねぇよ…っと!」
そう言いながら打ったボールは、今度はホームランの看板の僅か右に当たった。
「動揺してやんの心一!隠しても無駄だぜ!昼休憩にお前があんな長い便所に行く訳ねぇだろ?」
《ちっ、やっぱ祥には隠し事出来ねぇな》
観念した俺は、丁度球を全部打ち終わったと言う事もあり、祥に話してやる事にした。
「んで?相手は誰だよ?」
「………3組の坂下だよ」
俺が素っ気なく答えると、祥は声にならない声を上げていた。
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