人生の転機

3/5

18310人が本棚に入れています
本棚に追加
/246ページ
学校に着いた時には、もう2限目の国語の途中だった。 「神田!また遅刻か!」 「すんません先生」 俺は適当にハゲで中年の国語の先生に謝って、自分の席についた。 「おい心一、お前進級ヤベェんじゃね?」 俺が席に着くなり、隣のヤツがそう話しかけてきた。 コイツの名前は矢野 祥(ヤノショウ)。小学校の時から高2の現在になるまで一緒の、いわゆる『腐れ縁』と言うヤツだ。 「祥、お前見た目不良のクセに、そういうとこ真面目だよな」 「だってさすがに高校くらいは卒業してねぇとマズイだろ?」 祥は真剣な眼差しで、俺にそう言ってきた。 「それよりよぉ、なんか駅前の所に新しいバッティングセンター出来たんだってよ。放課後行ってみねぇ?」 「マジで!?行く行く!!」 俺の質問に、祥は即答してきた。 相変わらずいつもテンションが高いヤツだ。 そして放課後、 「おぉ!ここだぜ心一!早く入ろうぜ!!」 バッティングセンターに着くや否や、祥はそう言ってはしゃぎ出した。 《全く、コイツといると退屈しないな》 俺はそう思いながら、祥の後に続いてバッティングセンターへと入った。 カキーン! 打席に立つや否や、俺は160kmのストレートをホームランの看板に幾度となく叩きつけた。 「やっぱうめぇな心一は!さすが俺の親友♪」 「お前と親友になった覚えはねぇよ…っと!!」 そう言いながら俺はバットを振り、またしてもボールをホームランの看板に叩きつけた。 「ははっ!素直じゃねーなぁ~♪あっ、そういやお前、今日の昼休憩またコクられてただろ?」 「はっ?コクられてなんかねぇよ…っと!」 そう言いながら打ったボールは、今度はホームランの看板の僅か右に当たった。 「動揺してやんの心一!隠しても無駄だぜ!昼休憩にお前があんな長い便所に行く訳ねぇだろ?」 《ちっ、やっぱ祥には隠し事出来ねぇな》 観念した俺は、丁度球を全部打ち終わったと言う事もあり、祥に話してやる事にした。 「んで?相手は誰だよ?」 「………3組の坂下だよ」 俺が素っ気なく答えると、祥は声にならない声を上げていた。
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18310人が本棚に入れています
本棚に追加