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「お前こんな夜中に何しに来てんだよ!!」
「唯菜ちゃんの事が気になっちゃって♪もう両親の家に返してくれた?」
「んな早く返せる訳がねーだろうが!」
俺が思わずそう怒鳴った時、茶の間の方から嫌な視線を感じた。
その視線のする方を見ると、親父とお袋が顔を半分覗かせてニヤニヤしていた。
「やるなぁ心一、早速彼女か?」
「可愛い子じゃないの。大事にしてやりなさいよ」
「うっせぇよ馬鹿夫婦!引っ込んでろ!!海野もとりあえず外に出ろ!!」
親に罵声を浴びせた俺は、親の視線から逃れる為に海野を連れてとりあえず外に出た。
「…で、話はそんだけか?」
「ううん♪もう1つ聞きたい事があるの♪」
海野はニコニコ微笑みながらそう言って、少し離れた所に停めてあるババチャリを指差して口を開いた。
「あの自転車、お婆ちゃんの神様が憑いてるよね♪」
「あぁ…その事ね……」
俺は素っ気なくそう言って、頭をポリポリと掻いた。
「心ちゃん気づいてたの?」
「あぁ。あのチャリに乗った時だけ何故か俺にも見えるんだよ」
「へぇ~♪」
そう言って海野はババチャリの元に歩み寄った。
どうやら婆ちゃんと何かを話しているようだ。
そして少しすると、海野が俺の所に戻ってきた。
「あのね心ちゃん……」
「何だよ?」
「心ちゃん今、私に嘘ついてるの?」
海野の突然の疑問に、俺は思わず硬直した。
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