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「ハァ…ハァ…まだかよ婆ちゃん?」
「まだまだじゃ!」
「そうそう♪まだまだ~♪」
俺は女2人にそう言われながら、ひたすらババチャリを漕いだ。
てか、やっぱ2人乗りだとキツイな……。
「ほれほれ、これしきでへばるでない心一」
「うるせぇ!黙ってろババア!」
俺は婆ちゃんにそう悪態をつきながらもチャリを漕ぎ続けると、目の前に下り坂が現れた。
「しめた!下り坂使えば凄いスピードで漕げるぜ!頼むぞ婆ちゃん!それから海野も!」
「やるだけやってみるわぃ」
「任せて心ちゃん♪」
俺は2人の返事を聞きながら、下り坂に突入した。
突入した途端、ペダルは一気に軽くなり俺はこれでもかと言わんばかりにババチャリを漕いだ。
「おぉ!いい感じじゃぞ心一!ほれ娘っ子!願うんじゃ!」
「はっ、はい!」
そう言うと海野は、目を閉じて願い出した。
「おいババア!まだ叶えらんねーのかよ!下り坂が終わっちまうよ!」
「ちょっと黙っとれ心一!元々血の繋がりのないこの娘っ子の願いは、叶えられるかわからんと言ったじゃろうが!やるだけやってみちゃるから集中させんか!!」
俺は婆ちゃんにそう怒鳴られて、グッとハンドルを強く握った。
ここまでやって叶えられないなんて冗談じゃねぇ。
唯菜だって、きっともうすぐ帰れるって期待してるに違いない。
別に唯菜を親元に帰して、嘘ついた償いがしたいんじゃない。
俺だって海野みたいに、ただ純粋に唯菜を帰してあげたいんだ。
……頼むよ神様。
そう思った次の瞬間、俺達は眩い光に包まれた。
そして、
「………アレ?うわぁ!!!」
次の瞬間、俺は突如目の前に現れた電柱に突っ込み、その反動で頭を強打した。
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