幼い神様

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「ってぇ~………何でわざわざ電柱の前に瞬間移動すんだよクソババア!」 「ちゃんと叶えたんじゃから文句を言うでない。ほら、アレがその人形の神様の家じゃ」 そう言って婆ちゃんが指差した先には、辺りに並ぶ家々のうちの1つを指差した。 ごくごく普通の2階建て住宅だ。 「アレが唯菜ちゃんの家?よかったぁ♪ホントに願いが叶ったんだね♪ありがとうお婆ちゃん♪お婆ちゃんみたいな凄い神様、私初めて会ったよ♪」 「ヒャッヒャッヒャッ!アタシにかかればこれしきなんて事ないわい!」 そう言って婆ちゃんは、自慢気に笑った。 「ったく!さっさと唯菜を親の所に帰して帰ろうぜ。もう俺ヘトヘトなんだよ」 そう言って俺はカゴから人形を掴み取り、ババチャリから降りた。 「よかったね唯菜ちゃん♪パパとママに会えるよ♪」 唯菜にそう話しかける海野と一緒に歩きながら、俺達は唯菜の家の扉の前に立った。 ピンポーン 静かな家の中にインターホンの音が響き渡り、2階の部屋に明かりが灯った。 玄関に両親が出てくるのを待ちながら、俺はチラリと海野の方を見た。 海野は人形を見て微笑んでいる。 唯菜もきっと今、笑ってるんだろうな。 俺がそんな事を思っていると、『ガチャリ』という音と共に玄関の扉が開いた。
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