幼い神様

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「………唯菜がいる?馬鹿にするな!唯菜は死んだんだよ!!」 「ちゃんと見てるんですよ?私の手に片手を置いてみてください」 海野にそう言われたオッサンとオバサンは、訳がわからないという顔をしたがおとなしく片手を海野の右手の上に重ねて置いた。 その瞬間、 「………唯菜?」 「………唯菜なの?」 オッサンとオバサンは俺の持っている人形を見ながら、信じられないといった顔でそう言った。 「ほら、心ちゃんも」 「おっ、おう」 海野にそう言われて俺は差し出された海野の左手を握った。 すると人形の上にちょこんと座っている唯菜の姿が見えた。 唯菜はやっと自分に気づいてくれた両親を見て、涙をポロポロと流しながら微笑んでいた。 「オジサン、オバサン、唯菜ちゃんはこの人形に神様として宿ってずっと2人を見守ってくれてたんですよ」 海野は優しく微笑みながら、オッサンとオバサンにそう伝えた。 「……唯菜、ゴメンな捨てたりして………でもパパとママ、お前との思い出の詰まったその人形を見るのが辛かったんだ………」 「唯菜はママ逹に気づいてもらえなくても、ずっと見ていてくれたのね………ゴメンね……ゴメンねぇ……」 両親が泣きながら言ったその言葉に、唯菜は泣きながらブンブンと首を横に振っている。 「パパ……ママ……私はすぐにまた姿が見えなくなっちゃうけど、パパとママのそばにいたいの。何も出来ないけどそばにいたいの………駄目かなぁ?」 「いいに決まってるじゃないか!」 「唯菜は何があっても家の子よ!」 そう言ってオッサンとオバサンは、触れる事の出来ない唯菜の代わりに、ウサギの人形を優しく撫でた。
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