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人形に宿った唯菜との出来事から、早くも数日が経った。
今日も俺はババチャリを漕ぎ、学校までのクソ長い道のりを走って行っていた。
「ったく、なんでこんな毎日毎日、果てしない道のりをチャリで漕がなきゃいけねーんだよ!てかまだ7月上旬なのに暑すぎだろ!温暖化の馬鹿野郎!」
「若いもんがそんな事でへばってるようじゃ、今後の日本が心配じゃわい」
そう言って婆ちゃんは、俺とは正反対の涼しい顔で冷たい麦茶をすすった。
「ババア!テメェ1人だけそんなもん飲んでんじゃねーよ!」
「そんな文句言っとったら遅刻してしまうぞぃ」
「もうそんな時間か!?またあのドS教師に殴られちまうじゃねーか畜生!!」
そう言って俺はババチャリを漕ぐスピードを上げた。
「てか婆ちゃん!学校までワープしてくれよ!」
「バカモン!!そんな事でアタシを利用するんじゃないよ!!」
婆ちゃんは俺の頼みをそう言ってアッサリと断ってしまった。
「じゃあさ、腕時計とか出してくれねーかな?俺引っ越してくる時に親父に売られちまったから持ってねーんだよ」
「ん~、まぁ確かに時計はないと不便じゃのぉ。よし!そんじゃあ願ってみぃ」
「よっしゃ!」
婆ちゃんにそう言われて、俺はババチャリを漕ぎ続けながら願い始めた。
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