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高級腕時計が欲しい!
イカすデザインの腕時計が欲しい!
限定プレミア付きの腕時計が欲しい~!!
俺がそう願ってババチャリを漕ぐと、途端に俺の左手首が光り出した。
そして、光が止むと俺の左手首には見るからにプラスチックで出来た安物の腕時計が巻かれていた。
「……ちょい待てやクソババア!!願ってたのと違うじゃねーか!!こんなの100円ショップで売ってるヤツじゃねーかよ!!」
「贅沢言うでないバカモンが!時計なんて物は時間が見られれば充分じゃ!」
婆ちゃんはそう説教をすると、また冷たい麦茶をすすった。
《てか、麦茶とか何処から出してんだよ婆ちゃん………》
俺はそんな事を思いながら左手首に巻かれた安っぽい腕時計を見た。
「……ってあと8分しかねーじゃんか!!畜生がぁー!!!」
時計を見て遅刻しそうな今の状況を改めて自覚した俺は、必死にペダルを漕ぎ学校へと向かった。
ガラガラガラッ
「はい遅刻ー!」
俺が教室のボロい引き戸を開けた途端、黒板消しが俺目掛けて飛んできた。
パァン!!
「ゲホゲホッ!んな物投げんじゃねーよドS教師!」
「うるさいわねぇ。言っとくけどアンタ今日で3日連続で遅刻なのよ!わかってんの?退学にするわよ!」
遅刻で退学なんて絶対ありえねぇ。
だが残念ながらこの学校の全権限はこのドS教師・榎本夏が握っているため、コイツなら本当にやりかねない。
「ぐっ!………すいません」
「それでいいのよ。ほらっ、さっさと席に着きなさい」
先公にそう言われた俺は、怒りたい気持ちをグッと堪えて席に着いた。
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