七夕の願い

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つー訳で、俺達は短冊を一通り笹に飾り終えた。 「やったー♪完成ー♪」 「なかなかの出来ね!」 「それじゃあ早速笹を運ぶかの!」 そう言って官九郎は笹を持ち上げた。 つーか、運ぶって何処に運ぶんだ? 「さぁ心一、馬鹿みたいにつっ立ってないで行くわよ!」 「ちょい待てよ先公!何処に持って行くんだ?」 俺は先を行く先公にそう尋ねた。 「心一、いい加減『先公』って呼ぶの辞めなさい!雨音や官九郎みたいに『なっちゃん』と呼びなさい」 「ケッ!ちゃん付けで呼ぶような年じゃねーだろ」 俺がそう言った瞬間、先公のラリアットが俺の首に直撃した。 「ゲホッゲホッ!何しやがんだよ体罰教師!」 「『体罰教師』じゃなくて、『なっちゃん』でしょ?ねぇ心一?」 先公のその冷静な口調から凄まじい憎悪を感じ取った俺は、思わず身震いしてしまった。 「………すいません。なっ、なっちゃん………」 「それでいいのよ心一。さぁ、早く笹を運ぶわよ」 先公……じゃなくてなっちゃんにそう言われた俺は、ようやく最初にした質問を思い出した。 「だから!何処に運ぶんだよ!?」 「何処って、神愛樹に決まってんでしょ。あぁ、心一は飛鳥村の七夕を知らないのよね。飛鳥村では神愛樹の周りに笹を飾ると、どれか1つだけ願いが叶うって言われてるのよ」 「へぇ~」 飛鳥村のそんな伝統なんて知らなかった俺は、素直にそう感心した。
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