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と言う訳で、時間は流れてあっという間に夜になってしまった。
「心一、こんな時間に何処に行くの?」
「別に何処でもいいだろお袋」
俺は玄関で靴紐を結びながら、ぶっきらぼうにお袋にそう言った。
「わかったぞ心一。お前この前家に来たあの女の子に会いに行くつもりだろ?」
チッ、ズバリ当ててんじゃねーよクソ親父。
「あらまぁ、青春ねぇ~」
「若いってのはいいなぁオイ」
「勘違いしてんじゃねぇよクソ夫婦!2人で寂しく酒でも飲んでろ!」
俺はそう怒鳴って家を出て、玄関の脇にあるババチャリに股がった。
股がった途端に、ベルの上にお茶をすすっている婆ちゃんの姿が現れた。
「何じゃ心一、こんな時間に出かけるのかぇ?」
「あぁ、わりぃな婆ちゃん」
俺はそう言ってから、雨音の家に向かってババチャリを漕ぎ始めた。
30分程して、俺は事前に場所を教えてもらっていた雨音の家に到着した。
雨音の家はこの村には似合わない結構新しい造りの2階建住宅だった。
ピンポーン
インターホンを鳴らすと、ガチャリという音と共に金属製の扉が開いた。
「あら?ひょっとしてアナタが心一君?」
「あっ、はい。初めまして」
俺は扉の奥にいた雨音の母親と思われる人にそう挨拶した。
こんな事言うのも何だが、俺のお袋とは比べ物にならない程の美人だ。
「アナタの話は雨音から色々聞いてるわ。今呼んでくるから少し待っててね」
雨音の母親はそう言うと、家の奥へと戻っていった。
てか雨音の奴、一体俺の事何て話したんだろうな………。
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