七夕の願い

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「それじゃあ心ちゃん、早速願いを叶えていこっか♪」 「いやっ、その事なんだがな……やっぱり全員の願いを叶えるのは無理だって。せめて俺が顔ぐらいは知ってる人じゃないと……」 「う~ん……じゃあこの村で知ってる人って誰がいるの?」 雨音にそう尋ねられ、俺は頭の中の記憶を模索した。 「えーっと……とりあえずお前と官九郎と先公。後は昼間にあったエロ村長と俺の両親ぐらいだな」 「じゃあその中から叶えられそうな短冊探そ♪」 「おっ、おぅ」 そうして俺は雨音に言われるがままに知ってる人の短冊を探し始めた。 「ってか短冊の量多すぎだろコレ」 「ぶつぶつ言ってないでちゃんと探してよ~」 「はいはい。んっ?」 俺はここでとある笹に見覚えのある名前の書かれている短冊を見つけた。 【神田健一(ケンイチ)・恵津子(エツコ)】 俺の親父とお袋の名前だ。 「何願ったんだあの駄目夫婦は?」 俺はそう呟いて短冊の願いを見てみた。 【息子が早くこの村になれてくれますように】 正直、恥ずかしいと言うか、情けないと言うか、なんか複雑な気持ちになった。 「フフッ、この願い事は叶える必要はなさそうだね♪」 「うわっ!馬鹿!覗くなよ!」 俺がそう言って焦って短冊を隠すと、雨音は優しく微笑んで再び短冊を探し始めた。
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