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引き続き懐中電灯片手に短冊を漁っていると、またしても見覚えのある名前を見つけた。
【松尾源六】
「確かこの名前って昼間のエロ村長だよな?」
俺はそう呟いてエロ村長の願いを見てみた。
【村の若い女の子達とハーレムを…】
ビリビリッ
途中まで読んだ時点で、俺は短冊をビリビリに引き裂いた。
絶対村長変えるべきだってこの村は………。
「心ちゃーん!私達の持ってきた笹見つけたよー♪」
「あぁ、今行く」
雨音に呼ばれて、俺は雨音の元に歩み寄った。
「ここにあるなっちゃんか官ちゃんの願い事叶えてあげようね♪」
「あっ、あぁ……」
俺は自信無さげにそう答え、叶えられそうな願いを探し始めた。
「ねぇ心ちゃん……」
「なんだよ?」
俺が短冊を漁りながらそう言って雨音を見ると、雨音は1枚の短冊を手に取って悲しそうな顔をしていた。
その短冊は、俺が書いた『東京に帰りたい』って願いを書いた短冊だった。
「心ちゃんはやっぱり、東京に帰りたいの?」
「まぁ……一応俺の産まれ育った街だしな」
俺がそう言うと、雨音はさらに悲しそうな顔をして顔を伏せてしまった。
「でっ、でもしばらくは帰れないからさ!この村も馴れてくりゃ悪くねーし!」
俺が慌ててそう付け足すと、雨音顔を上げて俺を見た。
そして、
「へへへっ、よかったぁ♪」
そう言っていつもの笑顔を見せてくれた。
なんつーか……雨音は俺を必要としてくれてるのかと思って、正直少し嬉しかった。
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