七夕の願い

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その後俺達は再び短冊漁りを再開した。 「ねぇねぇ心ちゃん♪これなんかどう?」 そう言って雨音が見せてきた短冊は、官九郎の『クジラが釣りたい』って願いだった。 「いやぁ、それはちょっと無理じゃねーかな?まずここの海にクジラ住んでないし」 「う~ん……そーだねぇ」 そう言って雨音は再び短冊を漁り始めた。 「心ちゃん!じゃあこれは?」 そう言って雨音が次に見せたのは、先公の『彼氏が欲しい』って願いだった。 「いやっ、そういうのはあくまで自分の力で叶えるから意味があるんじゃね?」 「んー……そっかぁ」 そう言って雨音は短冊を元に戻した。 「つーかさぁ、正直俺は官九郎ならともかく先公の願いを本気で願える自信はねーんだ」 「なんで?」 「なんでって、すぐ殴るしガミガミ怒るし。まともな授業しないのはまぁ楽でいいけどさ」 俺がそう話すと、雨音は短冊を漁る手を止めて俺の方を見た。 「心ちゃん、なっちゃんがまともな授業しないのは、別にめんどくさいからとかじゃないんだよ?」 「じゃあなんでだよ?」 「心ちゃんに早く学校に馴れてもらうためだよ」 「………えっ?」 雨音の言葉に不意を突かれた俺は、一瞬訳がわからなくなってしまった。
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