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「………で、結局叶えられそうな願いはなかったのかぇ?」
俺が帰る為にババチャリに触れた途端、婆ちゃんがそう話しかけてきた。
「まぁ、どれもこれも無理難題でな。なぁ雨音?」
「うん。でも仕方ないよね………」
「まぁ、願い事は神愛樹と織姫と彦星に任せようぜ。ほら、帰るぞ」
「……うん♪」
雨音はそう言って微笑むと、ババチャリの荷台にピョコンと乗ってきた。
そうして俺は、雨音の家に向かってババチャリを漕ぎ出した。
「わぁー♪見て見て心ちゃん♪天の川が綺麗だよー♪」
「チャリ漕いでんだから見れねーよ!」
「ちょっとだけだから♪ほらほら♪」
雨音はそう言って俺の首を掴んで、無理矢理上を向かせてきた。
「馬鹿っ!止めろって………」
俺はそこまで言った時点で、言葉を失ってしまった。
空には雨音が言った通り、まるでダイヤが散りばめられているような天の川が空を流れていた。
東京の空にも流れてるはずなのに、一度も見た事がなかった。
天の川どころか、星すらまともに見られない。
都会暮らしは、凄い損をしてたんだな………。
俺は心のそこからそう思った。
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