ナナ

3/19
前へ
/246ページ
次へ
そんなこんなで夏との言い争いが一段落した所で、俺は自分の席についた。 「さぁーて皆、今日は何して遊ぶ?」 教卓に立って、夏が俺達にそう尋ねてきた。 つーか、今ハッキリと『遊ぶ』って言いやがったぞこの教師……。 「なっちゃん!釣りじゃ釣りじゃー!!」 官九郎はそう言って、自慢の釣竿をブンブンと振った。 「またぁ?一昨日行ったばかりじゃないの。他に何かないのー?」 「はいはーい♪」 続いて雨音が元気にそう言って立ち上がった。 「私ね、カブトムシが採りたーい♪」 「え~。私虫はあまり好きじゃないんだけど……」 「虫より魚じゃろ!なぁ心一?」 「別に俺はどっちでも構わねーよ」 俺は適当に官九郎にそう言って、鞄に入れてきていたウチワで自分をパタパタと扇いだ。 結局話し合いの結果雨音の意見が通ったようで、俺達は1人ずつ虫取り網と虫籠を持って校舎を後にした。 よく考えたら、虫取りなんて小学生以来だな……。 この村はそこらじゅうが森なので、俺達はすぐに虫が沢山いそうな森の中に到着した。 「今日は魚の変わりに虫を取り巻くるぞー!」 官九郎はそう言って、虫取り網を振り回しながら森の奥に突入していった。 つーか、官九郎は釣竿のみならず虫取り網もよく似合うなぁ……。
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18310人が本棚に入れています
本棚に追加