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「私達も行こう心ちゃん♪」
「うわっ!引っ張んなって馬鹿!」
俺はそうして雨音に引っ張られながら、森の中へと入って行った。
「わぁー♪沢山いそうだね♪」
「つーかセミの鳴き声がうるせーなぁオイ」
俺はそう言って、鳴き声の聞こえる木の上を見上げた。
「早くカブトムシ探そうよ心ちゃん♪」
「でもカブトムシって夜に行動すんじゃねーの?」
「わかってないなぁ心ちゃんは。昼間は寝てるから、寝てる所を狙った方が捕まえやすいに決まってるじゃん♪」
「うーん……そうなのか?」
カブトムシなんて捕った事のない俺は、雨音の言った事が正しいのかよくわからなかったが、それでもやっぱ夜を狙った方が捕れるような気がする……。
そんな事を考えていた時、俺の目線の先の木に何か動くものが見えた。
「あっ!」
「どうしたの心ちゃん?」
「ほら見てみろよ!カブトムシのメスだ!」
俺はそう言って、さっき見つけた動いていたものを手に取って雨音に見せた。
「うーん……心ちゃん、これは『カナブン』だよ?」
「えっ?」
雨音にそう言われて、俺は改めて手に取った虫をよく見てみた。
言われてみれば、コイツは確かに東京でもあちこちで見た事ある『カナブン』だな……。
「わっ、わざと言ったに決まってんだろ!」
「でもせっかく捕ったんだし、一応虫籠に入れとこうよ♪」
雨音がそう言って自分の虫籠を開いたので、俺はカナブンを虫籠の中に入れてやった。
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