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そのまま黒い生物は俺を押し倒し、上乗りになった。
そして、
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺の顔をベロベロと舐め始めた。
「うっ!ぺっ!辞めろぉ!!」
「大丈夫だよ心ちゃん♪ただのワンちゃんだよ♪」
「へっ!?」
雨音にそう言われて俺が上に乗ってる動物をちゃんと見てみると、そこでは黄色い首輪をつけた黒い毛の犬が嬉しそうに尻尾を振っていた。
「犬かよ、ビビらせやがって!退けよホラ!」
そう言って俺は黒い犬を何とか引き剥がし、立ち上がって服についた砂をはたいた。
「それにしてもデカイ犬じゃのー!」
「多分『ラブラドールレトリーバー』ね」
突如会話に乱入してきた夏が、俺達の方に歩み寄ってきながらそう言った。
服が乱れている所を見ると、多分カナブンを取るのに相当苦労したんだろうな……。
『らぶらどーる?可愛いねぇ♪』
そう言って雨音は、犬の頭を優しく撫でた。
犬も嬉しそうに尻尾を振っている。
「……つーか、首輪付いてるけど飼い犬なのか?」
俺は犬の首元に付いている黄色い首輪を指差してそう言った。
「でもこの村でこんな大きいワンちゃん飼ってる人なんて、私知らないよ?」
「俺もじゃ」
「私もよ」
雨音に続くように、官九郎と夏もそう言った。
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