18310人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ他の所から来た飼い主が紐から離して走らせてんじゃねーの?」
「いや、それはないわね」
夏が冷静にそう言って、俺の意見を否定した。
「なんでだよ?」
「よく見てみなさいよ。飼い犬にしては汚れてるし、少し痩せてるわ」
そう言われて見ると、確かに夏の言う通りだった。
「て事は、捨て犬かもしくは飼い主の元から脱走したって事じゃな」
「捨て犬?可哀想……こんなに可愛いのに……」
雨音はそう言って、悲しそうな顔で犬の頭を撫でた。
「とりあえず学校に連れて帰って、何か食べさせてあげようよ!」
「まぁそうね。このままほったらかして狂暴な野犬になっても困るし」
そうして俺達は虫取りを中断して、犬を連れて学校へと戻った。
「やっぱりお腹空いてたんだねー♪」
雨音はそう言って、尻尾を振りながらガツガツと飯を食っている犬を微笑みながら眺めていた。
つーかその飯、俺の弁当なんだが………。
「なぁ、俺の昼飯なくなっちゃったんだけど……」
「仕方ないでしょ!心一以外は偶然皆弁当に玉ねぎ入れてきてたんだから!」
夏が腰に手を当てながら、怒ったようにそう言ってきた。
畜生、嫌味な偶然だな。あぁ、大好物のタコさんウインナーまで食われちまった……。
最初のコメントを投稿しよう!