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「えっ、えーっと………」
そう呟きながら、俺は頭の中で考えを巡らせた。
そして、
「なっ、『ナナ』なんでどうだ?」
結果的に浮かんだ名前は『ナナ』だった。
「なんで『ナナ』なの心ちゃん?」
「えっ、えーっと………今7月だから……」
俺は雨音の質問に素直にそう答えた。
「なんじゃ、単純じゃのー」
「うっ、うるせーよ官九郎!」
俺は少し恥ずかしくなって、官九郎にそう怒鳴った。
「まぁ『ナナ』でいいんじゃない?」
「私もいいよー♪」
「じゃあ『ナナ』で決定じゃの!ハハハ!」
そうして、結局俺の出した案が採用された。
うーん……本当にこんな単純な理由で『ナナ』にしてよかったのか?
俺はそんな事を思いながら、俺の方を向いて尻尾を振っているナナを見た。
「さぁーて、名前も決まったしそろそろ帰るわよ」
「そーだねなっちゃん♪じゃあお願いね心ちゃん♪」
そう言って雨音は、俺にナナを繋いでいる紐を渡してきた。
「……どういう事!?」
「そういう事よ。私の家は貸家だから犬飼えないの」
夏は何故か偉そうに腕を組みながら俺にそう言った。
「私ん家はお母さんが犬アレルギーなんだぁ……」
雨音は残念そうに肩を落としながらそう言った。
「俺の所は一応旅館を経営しとるんでの、お客さんに犬駄目な人がいる可能性があるから駄目なんじゃ」
官九郎は困ったように、麦わら帽子の上から頭をポリポリ掻きながらそう言った。
てか官九郎の家って旅館だったんだな……。
「……って、だから俺ん家で飼えってのかよ!?」
「そーゆー事♪」
「頼むわよ名付け親なんだから」
「そんじゃあの心一」
「ちょっ!待てよお前ら!!」
俺の制止も聞かず、結局3人はそそくさと帰ってしまった。
誰もいなくなったグラウンドには、呆然と立ちつくす俺と、尻尾を振ってるナナだけが残された……。
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