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結局そのままナナをほったらかしにも出来ないから、俺はナナを連れてババチャリに股がった。
「心一、なんじゃその犬は?」
「あぁ、野良犬だよ婆ちゃん。色々とあって俺が連れて帰らないといけなくなっちまってな」
そう言って俺は頭をポリポリと掻き、それからペダルを踏んでババチャリを走らせた。
すると、
「ワンワンッ!」
ナナは楽しそうに吠えて紐を引っ張り、俺ごとババチャリを引っ張り走り出した。
「元気な犬じゃのぅ!ヒヤッヒヤッヒヤッ!」
「うわぁっ!危ねぇって!止まれナナ!」
俺がナナにそう言うと、ナナはチラリと振り返ってさらに嬉しそうにスピードを上げて走り出した。
俺も最初はビビってたが、漕がなくても進むババチャリや、体に触れる少し生暖かい風が段々と気持ちよく感じるようになってきた。
「ハッ……ハッハッハッ!こりゃあいいや!もっと飛ばせナナー!」
「ワンワン!」
ナナは答えるようにそう吠えると、ナナは一層スピードを上げた。
まるで、ナナは俺が言ってる事がわかっているみたいに感じた。
……んっ?だが待てよ?……こっち家の方向じゃねーぞ!
「とっ!止まれナナ!……って急に止まんなぁぁぁ!!」
ナナが急に止まったせいで俺はババチャリでナナを引かないよう急ハンドルを切り、その勢いでババチャリから投げ出されて畑に顔面から突っ込んでしまった。
そんな俺を、ナナはお座りしながら尻尾を振って見つめている。
コイツ、まさか確信犯じゃねーだろうな?
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