going to ド田舎

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翌日、俺は軽トラの荷台で家具と共に揺られていた。 結局俺はまだ未成年。 親に頼らなきゃ生きていけないちっぽけな存在なんだ。 だからこうして、今軽トラの荷台で揺られながら、この産まれ育った東京を出ようとしてる。 「……祥に別れの電話くらい入れとくか」 そう呟いて俺はポケットに手を突っ込んだ。 だが、いつもはそこにあるはずのケータイがない。 《あっ、そういや料金払えないから解約したんだったな……》 その事を思い出した俺は溜め息をついて、再びただひたすら軽トラの荷台で揺られた。 「……音楽でも聴くかな」 俺はそう呟いて鞄の中を漁った。 だが、いつもはそこにあるはずのウォークマンがない。 《あっ、そういや少しでも金を作る為に売られたんだっけ……》 その事を思い出した俺は、また溜め息をついた。 イライラする。 なんで俺が、長年連れ添った街や友と別れて、婆ちゃんが住んでいたド田舎に引っ越さなければならないのか。 「なぁ神様、いるんなら俺をこの状況から救ってくれよ……」 俺は見上げた青空にそう呟いたが、青空は何も答えちゃくれない。 《なんかもう、どうでもいい………》 この先の人生に夢も希望もない。 そんな事を考えていたら、俺はいつしか深い眠りに落ちていた………。
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