ナナ

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そして、ようやく本日の授業終了。 俺は勉強が出来ない訳ではないが、勿論好きではない。 しかも勿論クーラーなんて物はなくて、かろうじでオンボロ扇風機が1台のみある教室内はかなり暑い。 俺は何度も夢の世界へ逃れようとしたが、その度に夏の鉄拳により叩き起こされた。 それに約1ヶ月ぶりの勉強という事もあって、1日の授業を終えた今現在の俺の頭は完全にパンクしてしまった……。 「ねぇねぇ心ちゃん、グラウンドでナナちゃんと遊ぼうよ~♪」 「雨音……頼むから今はそっとしといてくれ………」 机に突っ伏している俺の腕を無理矢理引っ張る雨音に、俺は呟くようにそう言った。 「そんな事言わないで♪官ちゃんもなっちゃんも遊ぶでしょ?」 「スマン雨音、毎月1日はその月の『釣り開き』の日なんじゃ」 官九郎は釣竿を磨きながら真剣な表情でそう言った。 ってか『釣り開き』って何だよ?『プール開き』みたいに言いやがって。 てか『釣り開き』も何も、いっつも全開じゃねーかよ……。 「う~ん……じゃあ仕方ないね。なっちゃんは?」 「私も今日はパス。最近いっつもナナと遊んでるせいで筋肉痛になっちゃってねぇ。私も年かしらねぇ……」 そう言って夏は腰を回してストレッチした。 つーか、ようやく自分が年だという事に気付いたみてぇだな。 こんな事、死んでも口には出せねぇけど……。
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