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と言う訳で官九郎と夏が帰った後、俺と雨音はナナを連れてグラウンドに出た。
俺はグラウンドの隅にある花壇のブロックに腰掛けて、楽しそうに走り回る雨音とナナを眺めていた。
「心ちゃんも遊ぼうよー♪」
「俺はいいって。疲れるし」
そう言って俺は雨音の誘いを断った。
帰りはまた長い道のりを帰らにゃならんのに、こんな所で体力は消耗できねーんだよ。
「ねぇ心ちゃん」
「何だよ?」
「ナナちゃん押し付けた事、迷惑だった?」
雨音は俺の前に立ち止まってそう言って、シュンと肩を落とした。
「いっ、いやっ、どうせ家だと暇だし、別に迷惑なんかじゃねーよ!」
「本当に?ならよかった♪」
そう言って雨音は微笑み、再びナナと遊び出した。
ったく、悲しんだり笑ったり、忙しい奴だな。
でも、雨音の笑顔はなんつーか、見ていて気分がいい。
自分でもよくわかんねーけど、雨音が悲しい顔をしている時に笑顔にしようと努力している自分がいる。
さっきもそうだったし……。
一体俺、どうしちまったんだろうな………。
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