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「ワンワンッ!」
「んっ?」
突如聞こえてきたナナの鳴き声で俺が我に帰ると、紐を持っている雨音を引っ張りながら俺に向かって突っ込んでくるナナの姿が目に入ってきた。
「心ちゃーん!止まんないよー!!」
「雨音!紐を離せ!」
「それが手に絡まって離れないんだよー!」
大声でそう言いながら、雨音はナナと共にドンドン近づいて来た。
《雨音が転ぶ前にナナを止めねぇとあぶねぇ!》
そう思った俺は立ち上がり、ナナ止めようと駆け寄った。
その時、
「うわぁ!」
「えっ?」
全力疾走していたナナが俺の目前で急に止まり、その勢い余った雨音が放り出されるような形で俺に向かって突っ込んできた。
ドサッ!
そのまま雨音は、俺に覆い被さるようにして倒れた。
「いてて……だっ、大丈夫心ちゃん!?」
「あっ、あぁ……」
ドクン………ドクン………
なんだコリャ?心臓がヤケにうるさい。
それに何か、俺の胸の辺りに何やら柔らかい感触が……。
「怪我とかない!?」
「だっ、大丈夫だって!そっ、それより早くどけっての!」
そう言って俺は、顔を赤くしながら雨音を退かした。
チクショー!こんなの俺らしくねぇ!
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