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「本当に怪我ない?」
「だっ、だから大丈夫だっての!」
「よかった♪それじゃあそろそろ帰ろっか心ちゃん♪」
「おっ、おぅ」
そうして俺は雨音と並んで帰り道を歩き出した。
ちなみにナナに引っ張られると危ないので、今日はババチャリには乗ってきてない。
「ナナちゃんが来てから、毎日がもっと楽しくなったよね♪」
「そうか?お陰様で俺は毎日ナナに振り回されて疲れてるんだけど」
そう言って俺は、先日ナナにこかされた時に出来た擦り傷を雨音に見せた。
「そのくらいで男の子がメソメソ言っちゃ駄目だよ!」
「別にメソメソしてる訳じゃねーよ!」
俺は雨音に反抗するようにそう言った。
その時、
「きゃっ!」
「うわっ!」
そう言って俺と雨音は同時にバランスを崩した。
俺が目を離した隙に、ナナが繋いでいる紐を俺と雨音の足に巻きつけたからだ。
倒れる瞬間俺は雨音の倒れる下に潜り込み、雨音を庇うように仰向けに倒れた。
そして、先程のグラウンドの時と同様、雨音が俺に覆い被さるようにして倒れた。
だが、今回はそれだけでは済まなかった。
チュッ
なんと、倒れた拍子に雨音の唇が俺の左頬に当たったのだ。
そう。これはいわゆる『ほっぺにチュー』というヤツだ。
「だっ、大丈夫心ちゃん!?」
「だっ、大丈夫じゃないぃぃぃ!!早くどいてくれ雨音ぇぇぇ!!」
俺はこれまでにない程にうるさく鳴り響く心臓の音を必死に押さえながら、必死に雨音を退かした。
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