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「まっ、まっったく!ナッ、ナナにはしつけが必要だな!!」
俺は先程のハプニングを誤魔化すようにそう言ってナナを叱った。
だが、
「えへへ♪心ちゃんのほっぺにチューしちゃったね♪」
俺の必死の誤魔化しをぶち破るように、雨音がほんのりと頬をピンクに染めながらそう言った。
ぐあぁぁぁもう!収まれ俺の心臓!顔赤くなるなー!!
「ねぇ心ちゃん♪」
「なっ、ななな何ですか?」
脳内がパニクっていた俺は、何故か敬語で雨音に答えてしまった。
「ほっぺにチューしたのは内緒だよ。皆にからかわれちゃうから!」
「いっ、言う訳ねーだろが!大体アレはハプニングだ!!」
「とか言っても照れてるクセに~♪」
「てっ、照れてねぇよ!!」
そう言って俺は、動揺しまくりで反抗した。
チクショー、情けねぇ……。
「えへへ♪じゃあ私、家こっちだから♪また明日ねー♪」
「えっ?あっ、おう!じゃあな!」
俺がそう言うと、雨音は元気に手をブンブン振りながら帰って行った。
雨音の姿が消えてから、俺は雨音の唇が当たった左頬にそっと触れた。
「くそっ、ダサすぎるぞ俺……」
俺がそう呟きながら下を向くと、ナナが尻尾を振りながらお座りして俺を見ていた。
「お前……まさか狙ってやったのか?」
そう尋ねても、勿論ナナは何も答えない。
「変な犬だなぁお前。んじゃあ帰るか」
そう言って俺は、ナナと共にオレンジに染まる空の下を歩き出した。
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