夢駆けるババチャリ

飛鳥祭

「まぁ、恋した回数なら心一より多いから何でも聞きなさい」

「あぁ、また何か相談あったら電話するよ」

「おう！じゃあな！」

「あぁ」

そうして祥との電話が切れ、俺は受話器を戻した。

すると、

ジリリリリッ

俺が受話器を戻したのとほぼ同時に黒電話がうるさく鳴った。

「……もしもし神田ですが？」

「あっ！心ちゃん♪雨音だよ～♪」

「なあっ！？」

ついさっきまで雨音の話をしていただけあって、俺は受話器越しに顔を真っ赤にしてしまった。

「なっ、何で俺ん家の電話番号知ってんだよ！？教えてねーだろ！？」

「なっちゃんに聞いたんだよ♪」

そうか。学校側に電話番号提出したもんなぁ……。

てか個人情報軽々と漏らすなよ駄目教師め。

「まっ、まぁいいや。それで何の用だ？」

「そうそう！実は今日『飛鳥祭』があるんだ♪一緒に行こうよ♪」

「飛鳥祭？てか今日かよ！そういう事はもっと早く言えよな」

「ゴメンね……今日駄目だった？」

「いやっ、べっ、別にいいけどさ」

そう言って俺は人差し指で頬をポリポリと掻いた。

「…で、祭は何処であんだよ？」

「神愛樹の所で夜７時からだよ♪」

「了解。何ならチャリで迎えに行ってやろうか？」

「ホントに？わーい♪待ってるね♪」

「じゃあまた後でな」

そう言って俺は電話を切った。

さてと、そんじゃあ準備すっかな。