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そして1時間後、俺は雨音を迎えに行く為に早めに家を出る事にした。
「親父、お袋、何か祭りがあるらしいから俺出かけて来るわ」
「あらそう。楽しんでらっしゃい」
「あっ、心一!リンゴ飴あったら買ってきてくれ!」
「いい年してそんな物欲しがんなよな親父………んじゃあ行ってきます」
俺は呆れ顔でそう言って家を出て、ババチャリに歩み寄った。
その時、
「ワンワンッ!」
ナナが尻尾を振りながら俺に向かって吠えた。
「わりぃなナナ。今日は連れてけねーんだ」
俺はそう言ってナナの頭を撫で、ババチャリに股がり走り出した。
「何処に行くんじゃ心一?」
「あぁ、何か『飛鳥祭』ってのに誘われたんだよ」
俺はババチャリのベルの上でウチワを扇いでいる婆ちゃんにそう説明した。
「ほほぅ、飛鳥祭か。懐かしいのぅ。生前は毎年必ず参加しとったもんじゃ」
「へぇ~。でもこんなド田舎じゃあどうせショボい祭りなんだろ?」
「何を言うか心一!飛鳥祭は歴史が古く、他の県からも人が集まる程の祭りなんじゃぞ!」
婆ちゃんのその言葉に、俺は少し驚いた。
どんな村や町にも、多少は有名な物があるもんなんだな。
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