惑う少年、戸畑カズオ

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また、新しい朝が始まる。 俺にとっちゃ憂鬱な朝だ。 学校に登校する前から、あの変人達に振り回される事が明らかだからだ。 突然、 太鼓を鳴らしたかの様な部屋の戸を叩く音が 聞こえてきた。 「カズオ~朝ですよ! 起きてるかぁ~!?」 俺の幼なじみは、 朝から耳がどうにかなりそうな程の大声で 俺を起こし、一緒に登校するのが日課だ。 ガチャ。 俺の返事を確認しないまま、その幼なじみはズカズカと俺の部屋に入って来る。 そして、次の瞬間 寝ている俺の腹部に彼女のカカトが落ちる。 ドスッ! ここでしばらく悶絶するのは俺の日課だ。 「……おっ、おはよ…う真紀子(マキコ)。 今日も朝から、元気……だな。」 凄い音はしたものの、 幸い肋骨は大丈夫みたいだ。 「なーに言ってんだよ!そんなの当たり前じゃないか!ホラ、さっさと 学校行くよ!」 「……わかったよ。 すぐ用意する。」 彼女、マキコは寝ている人間に容赦無くカカトを落とす、元気娘だ。……いや、非常識娘だ。 将来の夢は保母さんらしいが、子供にカカトを落とさないか真剣に心配だ。 俺はその鋭い彼女の技で二年前に骨折させられた。(!) 怒らせた俺が悪いんだが、プリンを盗み食いしただけでローリングソバットから正拳突きのコンビネーションを繰り出すのは、明らかにやり過ぎだと思う。 ……さあ、準備が出来た。彼女も待っているし、気乗りしないが今日も学校に行くとしよう。
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