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俺がエンペラーを倒し、矛根峠最速の座を手にいれてから1ヶ月程たった頃だろうか…
最速の座を手に入れてからというもの、今までの目標を達成してしまった為、正直少し気が抜けていたかもしれない…
そんなある日、俺は仕事が終わった後にぶらりと矛根峠にきていた。
さすがに平日だけあり、自分以外には誰もいない。さらに、この峠の近くに民家は全くなく、平日の深夜は不気味なほどこの峠は静まっていた。
山頂近くの自販機で飲み物を飲んでいた時、ソレは突然やってきた。
(1台上がってくる?しかもこの甲高い音は……ロータリーサウンドか?)
瑞樹が見つめるコーナーからものすごいスキール音を響かせながら1台の黒いFD3Sが飛び出してきた。
そのFDは俺のロードスターを見つけると、自販機前の駐車場で派手にサイドターンを決め、先ほど立ち上がってきたばかりのコーナー出口にハザードを炊いて止まった。
(一緒に走りましょう、ってか?おもしれぇ!)
俺は飲んでいた飲み物をさっさと飲み干し、ロードスターに乗り込んだ。
こうして両者一言も言葉を発しないまま、誰もいない深夜の峠で激戦のひぶたが切っておろされたーー
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