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もうすっかり日は落ち、夜のとばりがおりた峠を一台の車が走る。
闇を切り裂くように前方を見据える2つのリトラクタブル丸型ヘッドライト、山々に溶け込むような深い緑に塗られた小型なツーシーターオープンの車体が峠を駆け下りる。
ストレートエンドに左ヘアピンが迫る。
コーナー出口に対向車の灯りがないことを確認しブレーキングを開始ーー
初めはジワリと、加重が前にかかってからフルブレーキングに移行
それと同時に、ゆったりとスムーズな動きでヒールアンドトゥ。3速、2速へのシフトダウンに合わせてエンジンが唸る。
車速がある程度落ちたら一度ブレーキを緩め、ステアリングを軽く左に切り込む。
それにより、加重の抜けたリヤタイヤがブレイク。
そのまま4輪をとばす様にコーナーに進入していく。
アクセルを開けリヤから回り込ますイメージでクリップに着く。
そこからはスライドアングルに気をつけつつ、道端一杯に立ち上がっていく。
「うん、まぁこんなもんかな…」
ドライバーが呟くように喋る。
車はさらに加速し、ブレーキランプの灯りの尾を残しつつ、その車は下って行った。
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