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愛車に乗り込みキーをまわす。
その動作に合わせエンジンが目覚める。アイドリングも安定している。
「うん、お前も最近は絶好調だな♪」
マンションを離れ県道を山の方に向かって走るロードスター。
カーステレオからは瑞樹の偏見と独断で選んだクラッシック曲集が流れ、ゆったりとした空気を作り出している。
10分ほど走ると目的地である矛根峠に到着する。
この峠は、意外と路面の舗装も良く、道端も広めなうえ、コーナーのリズムがよく、高排気量の車も走りにくる峠でもある。しかし、その道端を生かした大胆な走りを求める中低排気量の車もけっして少なくはなく、様々な車が集まる人気な峠なのである。
ロードスターは矛根峠を登り始める。今は夜中ではないので当然道端を一杯使う様な走りはせず、左車線のみで軽く攻める。しかし、道端が十分なこの峠では一車線のみでもかなりの走りが出来るのだ。
免許を取り、ロードスターを購入してからの3年間、この峠をかなり走り続けてきた。
走り初めたばかりの頃は、しっかりとしたブレーキ操作やハンドル操作もまともに出来ない状態だったが、必死に練習した甲斐もあり、今ではこの峠の最速を争う人間の1人にまでなった。
当然、それに合わせてロードスターにもチューニングを施してきた。
…っと言っても、エンジンには手は入れず、エアクリーナーやマフラーの交換のみで、足周り中心なのである。
あとは、オープンボディの剛性の弱さを補う為にロールゲージを組んだり、エアロを組んだりしただけ。ビンボーな自分にはそれ位しか出来ないし、実際それ位でかなりの走りが出来るものなのである。
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