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まだ朝早いということもあり、自分以外の車はほとんど走ってはいなかった。
まぁ、休日の朝早くに愛車で峠を流すことしかやることがないのも考えものではあるが……
それなりの勾配の付いた峠のコーナーをリズミカルに走り抜けていくロードスター。
(帰りは帆、開けてこうかな♪)
ついそんなことを考えてしまうほど、朝早くの矛根峠は気持ちが良かった。
ほどなくして、頂上付近にある湖に到着する。
瑞樹は車から下り、近くの自販機で買ってきた飲み物を飲みながら愛車に目を落とした。
(うん、まぁこんなもんかな……矛根峠は俺のホームコースみたいなトコだし、ここでだけは他の走り屋には負けたくないもんな!)
「これからもしっかり頼むぜ、ロードスター!」
先ほどよりたかい位置からくる、身も心も洗い直してくれるかのような気持ちの良い朝の日差しが、ロードスターの優雅なボディラインに反射し、煌めき、瑞樹の意志に答えているかのようであった。
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