ep02 矛根最速と言われた男

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俺はさらなる運転技術の向上を目指して、今日もまた矛根峠に足を運んでいた。     2往復ほど走った後だったろうか…… 車に寄りかかり、缶コーヒーを片手に他の走り屋と談笑している時だった。   一台の車がこちらにやって来た。 その車はこれ見よがしに直6ツインターボエンジンのサウンドを響かせながら、俺のロードスターの横に車を止めた。 いかにも走り屋風の赤いR33GTーRだ。しかし、俺はそのR33に見覚えはなかった。   「おい、あのR33ってまさか…」   誰かが小声で呟く。   中から体格のいい大柄な、いかにも体育会系という俺が降りてきた。 ……よく見ると、少々足が短いように思えたが、気にしてそうなので目線を戻す。   「ぃよっ!アンタ、キレイな夜景を見れる場所を知らないかい!?」   絡んできているのだろうか? とりあえず俺は質問は無視して男に聞き返した。   「あの、どちら様ですか?」    そう聞くと、男は待ってましたと言わんばかりに笑顔になる。   「よくぞ聞いてくれた!俺はこの矛根峠でエンペラーって呼ばれている男だ。」  
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