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俺はさらなる運転技術の向上を目指して、今日もまた矛根峠に足を運んでいた。
2往復ほど走った後だったろうか……
車に寄りかかり、缶コーヒーを片手に他の走り屋と談笑している時だった。
一台の車がこちらにやって来た。
その車はこれ見よがしに直6ツインターボエンジンのサウンドを響かせながら、俺のロードスターの横に車を止めた。
いかにも走り屋風の赤いR33GTーRだ。しかし、俺はそのR33に見覚えはなかった。
「おい、あのR33ってまさか…」
誰かが小声で呟く。
中から体格のいい大柄な、いかにも体育会系という俺が降りてきた。
……よく見ると、少々足が短いように思えたが、気にしてそうなので目線を戻す。
「ぃよっ!アンタ、キレイな夜景を見れる場所を知らないかい!?」
絡んできているのだろうか?
とりあえず俺は質問は無視して男に聞き返した。
「あの、どちら様ですか?」
そう聞くと、男は待ってましたと言わんばかりに笑顔になる。
「よくぞ聞いてくれた!俺はこの矛根峠でエンペラーって呼ばれている男だ。」
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