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「エンペラー?」
「おぅよ!…っと、ちなみに俺の名前は藤堂功一だ。」
「あぁ、俺は…」
「白河瑞樹ってんだろ?アンタの噂は聞いてるぜ。俺が仕事で矛根にこれなかった間、ずいぶん活躍してくれたみてーじゃねぇか。」
「それはどうも。それで、俺に何かようですか?」
エンペラーの顔から笑みが消える。
「あぁ、アンタの噂を聞いたら我慢できなくてな。どうだ?これから矛根峠最速の座を賭けて勝負しないか?」
本来なら一発OKなのだが…今日は既に2本走った後だし、何よりバトルする気分ではなかった。
「なぁエンペラーさん、また後日ってことじゃダメかな?」
俺は相手を不快にさせないように穏やかに言った、…のだが
「なんだ?逃げるのかよ?噂ほどのヤツじゃねぇなぁ。…まーしょーがねーよなー。こんな根性なしのカメオと走ったって仕方ないもんなぁー。帰るか~」
そう言うとエンペラーは、フゥーと息をはき、肩をすくめ首を左右に振り、車に乗り込もうとする。
…はたから見れば、どう見たって瑞樹を挑発する為の演技(お世辞にも上手いとは言えない)なのだが……当の本人を見事に気づいておらず、完全にその気になってしまっていた。
「……オイ、チョットマテヤ……」
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