人形

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―ココは何処…? 暗い…暗い… …怖い… 此処から出なくちゃ… 早く…!― 「ぅうわ!」 最近同じ夢に起こされる。 「寝不足になっちゃうよ…」 そう少女―遠矢 亜莉朱(とおや ありす)は欠伸一つ、ベッドから起き上がった。 亜莉朱は普通だった。 否、普通で在ろうと心がけていた。 亜莉朱は昔から人の心の声が聞こえたり、 物を動かせたり、 過去や未来の夢やビジョンが見えたりしていた。 それは読心術、 念動力、 過去視・未来予知といったものだった。 だが、 それは物心付いたときから自分自身でその『力』を異質だと思い、周りに、家族にさえもひた隠しにしてきた。 いや、一人だけ。 大好きだった血の繋がりが無い兄。 兄だけは知っていた。 兄が行方不明になる前は。 それからは誰にも打ち明ける事なく、 もうすぐ中学二年の夏が終わる。 だがこの時、 亜莉朱は自分の運命を 宿命を 知ることは無かった。image=86716198.jpg
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