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現在亜莉朱は伯父の援助で一人暮らしをしている。
伯父はちょっぴりズレたお金持ちで家族が行方知れずになった時、駄目元で伯父に一人で住みたいと言ったのを『自立しようとする可愛い姪だ』と快く月10万の伯父の所有するマンションをタダで貸してくれたのだ。
しかも無期限。
そんな伯父の行動に驚いていたのだが確か妹である母もそんな感じだったので、金持ちは皆そうだと思ってしまっている。
だがそんな日常も亜莉朱にとってはかけがえのない日常なのだ。
この力さえ無ければ…
亜莉朱は制服に着替え、朝食を作り、ニュースを見るためテレビをつけた。
「―では次のニュースです―」
亜莉朱はいつも通りのニュースだろうとあんまり真剣には見ようとしなかったが、テレビ映った姿にに驚愕する。
「―昨日、都内のデパートで火災が発生しました。映像はその様子を撮した物です。」
流れていたのは何の変わりない火災事故の様子だ。
だがカメラが動いて別のアングルになったときだ。
其所に映っていたのは行方不明になった筈の兄だった。
亜「おっお兄ちゃん…?」
いる筈が無い。
あの時警察や伯父の警備隊までもが動き、捜し尽くしたのに。
その時、電話が鳴った。
電話の相手は家族の失踪事件以前から何かと気に掛けてくれている、父の同僚で当時は警部補、現在は警部の亀岡だった。
ちなみに独身だ。
亜「もしもし…」
亀『亜莉朱ちゃんか!?』
亜「亀岡のおじさん…」
亀『その様子じゃニュース見たみたいだな…』
亜「…うん…」
亀『今あの辺りの捜査してんだ。紫亜の事も一緒に調べて置くから、一人で何かすんじゃねえぞ!』
そう言うなり、忙しいのかプツッと切れてしまった。
確かに昔は何度か兄・紫亜(しあ)を捜し、倒れるまで歩いた事がある。
だが今はそんな事はしない。
普通に警察に任せるだけだ。
だが今更学校へ行くのも面倒臭い。
亜莉朱はそのまま下ろした受話器を再びとり学校のダイヤルを押した。
どんな言い訳をしようか考えながら。
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