あたしを必要として欲しかった。

止まらない。

　
　その頃、
　引っ越し始めていたから
　あたしのアパートには、
　ほとんど荷物もなく、
　生活感なんてなかった。

　「手料理が食べてみたいな」

　カバに、
　そんな事を言われた。

　「あたし、料理苦手。
　　料理道具は、
　　もう実家だし…」

　「料理苦手なの？
　　まさか、
　　米を洗剤で洗ったり、
　　味噌汁しょっぱくなって
　　砂糖入れたり
　　しないでしょ？」

　「そんな事する人いるの？」

　「昔、そんな馬鹿な女と
　　付き合った事あるよ」

　あたし、
　カバに馬鹿にされてるのかな？

　料理くらい出来るけど…
　いいや、
　期待されない方が楽だし。

　ボンボン坊やと付き合う女は、
　料理も出来ない
　お嬢様だったのかな？