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裕子は普通に幼稚園生活を送っていた
友達と呼べる人も出来た
裕子の顔のヒキツリを気にする人間はいない
正確にはわからないのだろう…
妹自身も病気の事など気にしない
両親の選択はいい結果を生んだ
周りの人間と差が出てきたのは小学校からだった
勉強的な事は関係ないのだが体育のような運動の時はやはり…
僕が4年の時に入学をして来た妹
初めての運動会がやって来た
「かけっこしたくない…」
そんな妹の言葉を僕は気にもせず自分のクラスの友人達と話をしていた
一生懸命に走る妹
その姿を見て他の誰よりも応援をしていたのは両親だった
少しぎこちない走り方をして頑張る妹を母は手を叩きながら応援していた
昼休みになると僕ら兄弟は両親の元へ行き弁当を食べた
「お兄ちゃん…いいなぁ…」
胸に付いている1等のリボンを見て妹は呟いた
「へへっ…」
僕はそれを誇らし気に自慢をした
この頃の僕は兄弟愛とかあまり得意でなかった
逆に恥ずかしく感じてしまうと言うか…
照れてしまうと言うか…
そんな気持ちが妹との距離を遠ざけていった
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