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「私たちは【そうじろう】って呼んでるんだ。大人なのに、私たちみたいに遊ぶんだよ!」
想像して、思わずクスッと笑ってしまった。沖田さん、時々少年みたいになることがあるからなぁ。きっと遊んでると子どもに戻っちゃうんだろう。
「遊ぶのに疲れるとね、そうじろうはお話してくれるんだよ」
「どんな話をしてくれるの?」
「江戸の話とか、そうじろうの子どもの時の話とか…。あ、でもこの頃は女の人のお話をしてくれるの」
え…女の人?それって、もしかすると…。
「そうじろうの部屋にね、女の人が一緒に住んでるんだって!その人のこと話してる時、そうじろう、すごく嬉しそうなんだ」
にこにこしている楓の前で、真紀は自分の頬がだんだん熱くなってくるのを感じた。ちょっと恥ずかしいけれど、嬉しいな。沖田さんにそんなに想ってもらえてるなんて-。自然と彼女は優しい笑みをたたえていた。
「私は3のつく日に壬生寺に遊びにいくの。もしそこで、真紀お姉ちゃんと会えたら嬉しいな」
彼女はきらきらとした目で見つめてくる。それに応えて、私はにこりと微笑んだ。
「3のつく日に、楓ちゃんに会いに壬生寺へ行くわ。その人と一緒にね」
そういうと楓は嬉しそうに何回も首を縦にふった。そんな彼女を見て、真紀も嬉しくなった。
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