空想見物人

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空想見物人

詩はいつもゴミ箱の中に落ちていた 詩はいつも時間の中に住んでいた 詩はいつも突然目の前に現れては フワフワと消えて行った 私の仕事はいつも 消える前に掴まえる事だった 泡玉のように風に吹かれる 詩はいつも目の少し上で隠れんぼをしていた 詩はいつも机の上に置き忘れていた わたしの仕事はいつも 消えてゆく詩をつかまえてあげる事だった 誰もが詩人 ただ私は詩人 現れた詩の歓びと悲しみを慰めてあげること わたしの仕事はいつも詩人であることだった おもいを形にできる者よ 落ちてゆく詩を拾いなさい
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