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いよいよ初めての単独ステージ。
テキーラ以外にも演奏するのだが、まだ楽器を始めて約1ヶ月、そんなに色々吹けるはずもない。
だったらテキーラだけでも、最大限の力を出し切ろうと、俺は意気込んでいた。
でも、実際は、テキーラだってほとんど吹けないのが実情だ。
テキーラって曲は、簡単に言うと明るく楽しいイケイケの曲。
途中、全員で
『テキーラッ!!』
とシャウトする所がある曲だ。
楽器が吹けない分、このシャウトは人一倍頑張った。
それと、この曲にはもう一つ見せ場があった。
クラリネットが目立つ所で、パート全員で立ち上がり、客席に向かって吹く所があるのだ。
当時、うちの高校のクラリネットパートは、客席から見て左側に3列で固まっていた。
ちなみに俺は、その3列目の1番客席側。
いよいよ、本番。
高校の名前がアナウンスされ、ゾロゾロと入場をする。
俺は、打楽器をステージに運んでから、所定の位置に座った。
譜面を開いて、ありえないぐらい背筋を伸ばし、先生の指揮棒が動き出すのを、じっと待っていた。
この間は、時間にしたら3分ぐらいだと思う。
いっぱい練習した自信からか、もしくは何にも知らないからか、意外と緊張はしなかった。
ただ、覚えているのは、座席のセッティングが納得出来ないみたいで、先生が甲高い声で指示をしつこく出していた。
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