第4章:テキ-ラ

3/3
1915人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
準備も終わり、先生が指揮台に立つ。 すると、すぐに演奏が始まった。 他の曲の演奏中は、照明が眩しかったことぐらいしか、正直覚えてない。 演奏は順調に進み、次はテキーラの番になる。 1番練習したから、それなりに吹けてる気にはなっていた。 そして、いよいよ立つタイミング。 『よし、うまく立てたっ!!』 なんか気分がいい。 みんなが俺を見てる気がする。 気分も良くなり、周りを見渡すと、 『あれ?みんなもう座ってる』 最悪な事に、俺は座るタイミングを間違えてしまったのだ。 幸い、隣に座っていた【静代】も立っている。 俺達2人は、ただ伸ばすだけの音を、立ったまま演奏してしまう。 『やっちまった……』 本当に恥ずかしい。 こんな時に、笑いの神はいらない。 そう思った。 ただ、本当に堂々と立っていたので、お客さんはわからなかったはず。 せめて、そう思いたい。 そして、フレーズが切れるタイミングで、やっと座る事が出来た。 終わった後、色々な人にからかわれたが、俺の初めての本番はこうして終わった。 初めての本番も終わり、この後は全国大会に向けて、いよいよ動き出す。 まずは夏のコンクールだ。 そして、この頃ぐらいからあの小さい先輩を好きになっていた。
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!