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8月の暑い日だった。
予選当日、俺達の高校は午後からの出演だった。
朝から学校で練習し、その後、みんなで予選会場の【練馬文化センター】へ電車で移動する。
打楽器を運ぶ人達だけは、トラックに乗って移動する事になっている。
何故だかあの時は、それが羨ましく感じたものだ。
この頃には、新品ではないが自分のクラリネットを買って貰っていた。
自分のだからというのもあるが、丁寧にケースにしまい、抱きかかえるように相棒を連れて、会場に向かった。
ちなみにその数年後、その時使った電車を、今度は通勤で使う事になる。
これも何かの縁なのかも知れない。
会場に到着し相棒を組み立て、本番前、最後の練習をし、ステージに向かった。
その後の本番は覚えていない。
というか、そこからの記憶が薄い。
いつの間にか終わっていたのだ。
表彰式が最後に行われた。
結果は金賞という喜ばしい結果だったが、次の大会には進めなかった。
やはり、1年で全国大会に行けるほど甘くはない。
ただ、なぜか悔しいという気持ちは出てこなかった。
俺は、何も貢献出来ていないという事を分かっていたからだと思う。
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