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そして、僕の牧場エリアでの生活が始まった。
―朝―
「兄ちゃん、おっきっ!あっさだよっ!」
翔のジャンピングボディプレスッ!
炸裂っ!
ドカ~ン!
「グェッ!」
(……死んだ……。)
「兄ちゃんっ!朝だよっ!起きてっ!」
さらに揺すり起こされる。
(…翔…朝からテンション高過ぎ…。)
「兄ちゃんっ!兄ちゃんってばっ!」
「……わかった……起きるから…。」
(…なんか…なつかれちまったな…。)
「おはよっ!兄ちゃんっ!朝ご飯できたってっ!」
「…おはよ…翔……たのむから…もうすこし…静かに…。」
「あのねっ!朝ご飯ねっ!すご~くおいしそうなんだよっ!」
(少しは人の話を……。)
「兄ちゃんっ!早くっ!」
「……わかった……着替えるから…先に行ってて…。」
「わかったっ!早くきてねっ!」
翔の嵐のようなモーニングコールが終わって、段々目が覚めてきた。
とりあえず起きるか………。
そして、朝ご飯が終わると牛舎の清掃である。
なんで遊びに来ているのに仕事?と、思わなくも無いが仕方が無い。牧場体験プログラムに組み込まれているのだ。
ほかの宿舎に泊まっている子供もやって来て、広い牛舎を丁寧に掃除する。
結構重労働だ。その上……。
「臭いっ!」
牛の匂いというか動物の匂いというかとにかく………。
「臭っ! クサクサクサクサクサクサクサクサクサクサ~い!」
一緒についてきた翔が大騒ぎしとる。
「ウルセッ!」
(ほうら怒られた……。)
「だぁって、クサいンだもん…。」
イジケル翔…。
「……翔……クサいのはわかってる。……だから、騒ぐな。」
「だぁってさっ!」
「みんな仕事してるんだ…騒ぐな…。」
なおもブツブツ言ってる翔を横目に作業に励む。
「なあ…、あいつ…お前の弟?」
隣りで作業していた奴が話し掛けてきた。
「いや、宿舎が同じだけ…」
「ふ~ん。」
「なあ、お前名前は?」
「稜、中島稜。」
「俺は、磯島和輝。よろしく!」
「俺は……。」
何故か、次々とお互いに名乗りあった。
いろんな奴がいた。
太ってる奴、痩せた奴、背の低いの、高いの……。
「なあ、午後からどうする?」
作業は午前中の時間だけ、午後は自由時間になる。
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