牧場エリア  ―翔―

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誰かが、 「馬、見に行かないか?」と、言った。 おお~っ!と、歓声が上がる。 「賛成っ!」 「行こうゼ!」 話はまとまった。 「何?、どっか行くの?」 翔がまとわりついてきた。 「馬、見に行くんだって。」 「おお~っ!俺も行くっ!」 (ついて来るんかい!?) 「いいだろっ!ねっ!兄ちゃんっ!」 (……しょうがないか……。) 「お前の姉ちゃんがいいって言ったらな。」 「やったぁ!」 「えっ!? このチビも来るのか?」 「……たぶん……。」 「お前、面倒見いいなぁ…。」 あきれたように和輝が言う。 「……成り行きでね……。」 やがて、お昼を知らせるチャイムが響いてきた。 「やったぁ!作業終わりぃ!」 お昼ご飯を急いで食べて集合場所へ向かった。 やっぱり翔も一緒である。 「おせ~ぞ!」 「わりっ!」 もう何人か先に待っていた。 ゾロゾロと歩いて放牧場に向かう。 天気は上々、風も涼しい。食後の運動にはちょうどいい。 なんだかテンションまで上がってくる。 牛の放牧場を過ぎると目的の馬の放牧場である。 「おおっ!、馬、発見っ!」 「何処っ?」 「ほらっ!」 遠くで馬が草を食べていた。 「いたっ!」 「見つけたっ!」 柵をくぐり抜けてさっそく馬に駆け寄る。 しかし……。 「ああっ!」 「逃げられた…。」 さすが馬、走るの早っ! ゼイゼイと弾む息を整えていると、また誰かが…。 「あっ! 建物発見!」 「何処っ!」 指差した先に茶色っぽい建物が見えた。 ……が…… 「遠っ!」 ……でも仕方が無い……。 僕らはその建物に向かって歩きだした。 翔も頑張ってついてきた。 最初の頃は、 「疲れたぁ!」 「ねぇ、休もうよぉ!」 と、うるさかったが……。 「置いてくぞ。」 と、言われると渋々ついてきた。 「来るんじゃなかった…。」 と、ブツブツ言いながら……。 やっとの思いで建物にたどり着く。 そこには〔乗馬教室〕の看板がかかっていた。 「乗馬教室だって!」 「おおっ!馬乗りてぇ~!」 こうして、僕らは乗馬の練習に励む事になった。
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