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―そして一週間程過ぎた。―
僕は毎日のように乗馬教室に通った。何故なら牧場エリアはとてっつもなく広いからだ。
馬にでも乗らないと探しだすのにどれくらいかかるか見当もつかない。
もちろん探しているのは【星の思い出・牧場エリア】である。
(……見つからないなあ……どこにあるんだろぅ……。)
僕は牧場エリアのあちこちを探し回った。
馬・牛・羊・豚の放牧場。それぞれの家畜舎。ミルクプラント。etc.……
あらかた探したんだけどなあ……。
牧場エリアの地図に探したところをいちいちチェックする。
……いったい何処に……
と、地図を眺めながら考えていたら……
「よう!、どうした?」
いつの間にか、そばにやって来た和輝に話し掛けられた。
「ン~……なかなか見つからないなあって思ってさ。」
「まあ、簡単に見つかるところには隠さないだろ……ところで翔は?」
「今日は姉貴んところ。馬が怖いって。」
「ふ~ん……。」
翔は初めて間近に馬を見た時、すっかり肝をつぶしてしまったらしい……。
何回か誘ったし、相乗りもしたのだが、やっぱり怖いようだ。
まとわりつかれないのは、有り難かったが……。
「んで、今日は何処行く?」
和輝は結構【星の思い出】探しに協力してくれて、一緒に行動している。
「そうだな……。もうあらかた探したからなあ……。」
僕は考えこんで、地図を眺めた。
(後、探してないのは……。)
「……産小屋エリアと……サイロエリア……」
「サイロエリアはあれだろ?明日の作業場だろ?明日でいいじゃん!」
「じゃあ、産小屋エリアだな………。」
「おしっ!決定!」
決まれば行動は早かった。二人で馬を走らせ、産小屋エリアに向かう。
「なあ……和輝……。」
「…ん?…」
「前から聞こうと思ってたんだけど…なんで付き合ってくれるんだ?」
「……内緒っ!……」
「ケチッ!」
「見つけたら教えてやるよ。」
笑いながら二人並んで馬を走らせた。
あっという間に産小屋エリアに着いた。
今は夏なので産小屋にはどんな動物も入ってはいない。
「有ったか?」
「無い!そっちは?」
「無い!」
建物を一つ一つ覗き周るが……。
「コラッ!何しとる!」
「ヤベッ!見つかった!」
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