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……カチャ……。
どうやら、カギはかかっていないようだ。
ゆっくりとドアを開ける。
中からヒンヤリとした空気が流れてきた。
(……?……)
20世紀の日本の田舎を再現している為、(フック等の建物を除いて)建物の中に空調が効いている事はまず無い。
ここは人工衛星の中だから人工衛星内全体が空調されていると言えば言えるが、一般的な建物ごとに空調はされない。
“違和感”
それが、この建物の印象。
中は薄明るく、すぐに地下へ続く階段があった。
「……っ!……っ!」
翔が何か叫んでいるが、まったく耳に入って来なかった。
心臓の音だけが頭の中で響いている。
僕は中に入るとゆっくりと階段を降りた。
気配で翔がついて来るのがわかったが、口の中がカラカラに渇いて何も話しかける事ができない。
翔はブツブツ何か呟いているようだが、僕が何も答え無いのでそのうちに黙った。
(これで【アンドロイド収納庫】だったりしたら暴れてやる!)
しばらく降りるとわりと広いフロアに出た。
右手と左手にドアがあってそれぞれに看板がかかっていた。
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