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慌てて僕らも列の後ろに並んだ。
ざっと数えても4・50人は並んでいるかな?
端末って何台有るんだろ?
まさか1台しかないなんて事は無いだろうな?……
だったらどのくらい待たされるか見当もつかないぞ?
僕はポケットの中にある鏡を確かめて、少しでも落ち着こうと、小さく深呼吸をした。
翔は相変わらず一人で騒いでいたが、何をしゃべっているのかまったく頭に入って来なかった。
和輝も同じように緊張した顔で前をにらんでいる。
「……ねぇっ!兄ちゃんっ!兄ちゃんってば!」
翔がしきりに腕を引っ張った。
「んあ!?」
「あそこっ!見てっ!“さいちゃん”と“まるちゃん”だっ!」
「“さいちゃん”と“まるちゃん”~!?」
翔が指差す方向に“ちゃん”づけて呼ぶにはあまりに不似合いな、大柄で小山のように太ったおばさんが二人で歩いていた。
「あの、おばさん?」
「うんっ!さいちゃんとまるちゃんだよっ!」
翔は嬉しそうに手を振った。
「誰?」
「《ティンカーベル》の先生っ!」
「先生~!?」
僕はびっくりした。
翔は《ティンカーベル》が嫌いなんだと思っていたから……。
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